債務整理の方法

多額の債務を負ってしまったり、多重債務に陥ってしまった場合、放って置けば夜逃げや自殺に追い込まれたり、離婚などの家庭崩壊の原因になります。どんなにがんばっても返済しきれないと思ったときは、一日も早く債務を整理しなくてはなりません。債務整理の方法にはいくつかの選択肢があり、代表的なものに下記に示す4つの方法があります。悩んでいないで、まずは当事務所に相談いただき、1日でも早く立ち直りましょう。 また、それぞれには長所、短所がありますから、個々のケースでどれがもっとも適切かをよく判断することが必要です。
@  《 任意整理 》
A  《 自己破産 》
B  《 個人債務者再生手続き 》
C  《 調停( 特定調停 ) 》


@任意整理
 これは裁判所を使わないで、直接債権者と交渉し、債権者の同意を得て、債務を減額してもらい、分割で支払っていく方法です。 裁判所を使わないで行う方法ですが、個人で個々の債権者と交渉するということは実際には難しく弁護士や司法書士に頼んで行っているのが現実です。
 任意整理をするときは、まず、法律上支払わなければならない債務額を確定します。法律上支払わなければならない債務とは、利息制限法という法律によって認められている利息 に基づいて計算をした結果、借り入れた元金が100万円以上のときは年15%、10万円以上100万円未満のときは18%、10万円未満のときは20%、と定められています。 サラ金の利息は、例外なく、利息制限法で定められた利息を超えていますから、利息制限法で定められた利息を超えて支払った利息については、
過払いということになります。過払い分は、元金に充当されたものとして計算しますから、債権者が主張している債権額より、 実際に法律上支払わなければならない金額は、かなり少なくなります。
 こうして計算された債務額を前提にして、一括で、あるいは分割にて支払いを行います。 また、支払いについて、一括払いの場合、減額してくれる業者もあります。
そして分割の場合は、将来に発生する利息は、つけないようにしてもらうのが原則です。 なお、 計算の結果、元金及び利息制限法の利息以上を支払っている場合には過払い金が発生しているため債権者に過払い金の返還を求めていき、お金が返ってくる場合もあります。

A破   産
 破産手続きは、裁判所を通じて行いますが、破産手続き免責手続きの2つの手続きからなっています。 一般に「 破産 」と言っているのは、免責まで含めたものです。
 破産手続きは、まず、破産申立てをすることが必要です。これは、個人でもできますが、多くの場合は、弁護士や司法書士に依頼して申し立てています。個人で申し立てする場合には、すべての手続きや必要書類を自分で揃えなければならないのでね、大変な上に、破産手続き申し立ての準備をしているときも、 債権者からの取り立てを止めることができないことから、実際には、債権者からの取り立てを止めるために弁護士や司法書士に依頼することが多いと言えます。
 破産宣告を受けると、官報に掲載されます。しかし、それ以外には、戸籍にも載りませんし、一般の人が見るような新聞などには載りません。官報は、金融関係者などが個人の信用情報を得るために見る他は、一般の人は見ませんから、 秘密は守られます。また、選挙権がなくなるわけではありませんし、 会社を首になったりするということも原則的にはありません。家族の財産が差し押さえになるということもありません( ただし、家族が保証人になっている場合は別です。 ) ただ、破産すると信用情報としては、ブラックリストに載りますから、通常の金融機関からは、 借りにくくなったり、クレジットで物を買うことができなくなるということはあります。ただし、このような不利益も一生続くものではなく、何年か続くものにすぎません。
 破産宣告を受けると、今度は、免責を受ける為の
免責の手続きに入っていきます。免責とは、その人の借金を法律的には、一切払わなくてよいということです。 免責は、破産の申し立てをしたすべてが認められるとは限りません。免責には、免責不許可事由というものがあります。借金の理由がギャンブルや浪費であるときは免責不許可事由となりますが、ギャンブルや遊興費のために借りたとしても、ただちに免責不許可事由なるとは限りません。 一定期間内に債務総額の一割ないし二割を積み立て、これを債権者に分配することができれば、免責を受けられる場合もあります。免責はあくまで裁判官の判断によります。
 このように破産手続きでは、破産申し立てをしてから、免責を受けられるまでに、約4カ月〜半年位です。

以上の説明したのは、申し立てた人に財産がない場合です。これに対して、自分名義の不動産がある場合には、手続きはもう少し複雑になります。不動産がある場合には、その不動産に抵当権が付いていて明らかなオーバーローンになっているような場合を除き、裁判所が破産管財人を選任して不動産を処分して、 債権者に配当をするまでは手続きは終わりません。この場合には、時間がかかる場合もあります。


B個人債務者再生手続
 これは、 破産と同様に裁判所を利用した制度です。破産手続きは、免責が認められれば、債権者に対しては一切支払わなくてよいことになりますが、一方、破産しようとしている人が、住宅をもっていると住宅を失わざるをえなくなりますし、 人によっては破産はしたくないという人もいます。そこで、借金( ただし、住宅ローンを除く )の額が5000万円を超えない場合に、総債務額の一定程度を原則3年ないし5年で支払えば、それを超える金額については、免責させる、しかも、 住宅ローンについては、返済を繰り延べして、住宅を保持したままで、債務の整理を可能にするという制度です。この手続きを利用するに際しては家計表などをつけてきちんとした返済計画をたてることにより裁判所の認可を得て、 その返済計画通りの支払いをしていく事が最も重要になります。

C調   停
  調停は、簡易裁判所に申し立てを行います。正式には、債務弁済協定調停といいます。この調停の申し立ては、自分て行うことも可能です。調停では、調停委員が債権者との間で、債権額を確定し、一括なり、分割で話をまとめます。 調停でも、債権確定の際には、利息制限法に基づく計算をします。調停は、調停委員の腕にかかっていると言ってもいいと思います。
 任意整理と同様、将来に発生する利息を免除してもらうようにすることと申立て人の生活に支障が出ない、
無理のない返済計画にすることが重要です。


       司法書士藤井彰事務所
       ■〒745-0007 山口県周南市岐南町8番31号福谷ビル2F
       ■TEL 0834-32-9861 ■FAX 0834-32-9862